アブサン
パリの労働階級の二人がカフェで佇む様子を描いた作品。この舞台は、当時印象派の画家が数多く集った「カフェ・ド・ヌーヴェル・アテーヌ」。このカフェはマネの「プラム」の舞台ともなっている。ドガの友人である女優と版画家をモデルとしてこのカフェに呼び出し描いた。多くの人が住まうパリでの人間関係の希薄さをも感じるこの作品は、当時1893年にロンドンで公開されると、酔っ払いを描いた低俗な絵と見なされ、その評価は散々なものであった。ドガは画家であると同時に、当時珍しかったカメラにも精通しており、カメラマンとしても活動していたため、描く絵画はスナップショット的な構成が多い。