紳士とワインを飲む女
様々な観点から1650年代にピーテル・デ・ホーホが発展させた、デルフトの絵画様式で描かれた典型的な風俗画とされる。極めて明確に描かれた明るく広々とした室内で、座った女性と立った男性が屋内でワインを酌み交わしている情景が描かれている。この作品では人物が前景ではなく中景に配する構成となっている。『紳士とワインを飲む女』はフェルメールが27歳くらいの時期の作品である。美術史家ワルター・リトケは「それまでの因習的な芸術的観点から、『紳士とワインを飲む女』のような完全な美しさを持ち、異常なまでに洗練された作品を評価することはできない。フェルメールが完璧な技量を身につけていたことを示す最初の作品の一つであろう」としている。