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マドンナ

Madonna 1894年 91.0cm x 70.5cm
作品の題名は、この絵がイエスの母マリアを描いたものであることを示しているが、マリアの表現としては非常に変わったものである。というのも、20世紀に至るまでマリアの肖像は品のよい熟年の女性を描いた高踏的な芸術であることが常だったためである。本作に描かれた人物は十代にも見えるほど若く官能的で、好色的とまではいえぬにせよ、身をよじらせて表情豊かなポーズをとっている。彼女は後ろに手を伸ばして背をそらし、自分の肉体に鑑賞者の意識を惹き付ける。ただし、この変わったポーズにおいても、聖母マリアの表現法の規範となる重要な要素のいくらかは体現している。まず、彼女は静謐さと穏やかな自信を湛えている。またその目を閉ざして慎ましさを表しながら、同時に上方からの光によって照らされている。より多く光を身に受けられるよう体をよじらせることで、目を向けることのないまま自分の体を見つめている。