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赤毛の女(身繕い)

Rousse dit aussi La Toilette 1889年 67.0cm x 54.0cm
19世紀末のパリを中心とした歓楽街の女性たちを数多く描いたロートレック。乳白色に描かれた女性の背中は、彫像のような質感を醸し出していると同時に、女性の柔らかできめ細かな肌を感じ取ることもできる。
このタイトルの作品は多数存在しているが、1980年に開催されたブリュッセルの20人展で展示した物である。
着座している女性を上方からとらえた視点は、ドガの影響を強く受けていると言われている。
女性の表情は描かれていないが、後ろ姿からもリラックスしている様子が分かり、これは日ごろから歓楽街や娼館等に出入りして、そこの女性たちと信頼関係を築いていたロートレックだからこそ描けた作品である。ロートレックはこのような言葉を残している「人間は醜い。されど人生は美しい。」
後ろ姿を描いているのは、彼が描きたかったことが、女性の外見等ではなく、たくましく生活する女性たちの内面だったのかもしれない。「職業モデルは、いつも剥製のようだが、彼女たちは生きている」