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ガシェ医師の肖像

Portrait Of Doctor Gachet 1890年 68.0cm x 57.0cm
ガシェ医師は、オーヴェルでゴッホの晩年に付き合いがあり、ゴッホの最期を看取った医師でもあり、またゴッホの数少ない良き理解者でもあった。
同様の作品がもう一つ存在しており、そちらは個人収蔵となっている。構図は同様であるが、色彩や表現方法がかなり異なり、見るものに全くことなった印象を与えている。
ゴッホが入院していたサン・レミ療養所から出た後に、生活拠点を探していたところ、ピサロから、精神科医のガシェが画家との共同作業に関心があると聞き、ゴッホはオーヴェルへ移住する。ちなみにガシェは精神科医でもあり、また画家でもあったという人物。ゴッホの内に秘めたるなにかを明確に感じ取っていたのかもしれない。
ちなみにゴッホのガシェに対する第一印象は、弟テオへの手紙で次のように言及されている。
「ガシェは全く信頼できないように感じる。彼は私よりも心を病んでいるように見える。つまり目の見えない人が、別の目の見えない人を導くとすると、二人とも谷底に落ちて不幸なことにならないか。」
とは言うものの、2日後に書いた妹ヴィルへの手紙では、「ガシェは神経質で変わったところもあるが、考え方や精神的な面や体格等において自分とにており、新しい兄弟ができたかと思うほどで、新たな友達を見つけた。」と。

2作あるうち、こちらは第二バージョンとされており、ゴッホがガシェに寄贈したものであり、ガシェの死後彼の遺族がオルセー美術館に寄贈して現在に至っている。