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キュクロプス

Le Cyclope 1895年 64.0cm x 51.0cm
神話における大部分のキュクロープスと同様に、ポリュペーモスは、獲物を狩って食べ尽くす野生の生き物、悪役として登場する。この題材は以前から、画家ギュスターヴ・モローなどによって描かれていたが、ルドンはこの神話を取り上げ、新たなポリュペーモス像を生み出した。ルドン版におけるポリュペーモスは、恐ろしくない、受動的な生き物として描かれている。普通なら災厄であるはずの獣が、それまでのルドンの諸作品に見られるような、大きなひとつの眼で、やさしく見つめている姿で描かれる。ナーイアスであるガラテイアは、裸の無防備な姿で植物の上に横たわっている。ポリュペーモスはこの「性的に成熟した処女」を優しいひとつ眼でじっと見つめているように見える。ポリュペーモスは、恥ずかしくてガラテイアの「あられもない」姿とじかに向かい合うことができず、岩山のかげに身を隠している。